電力用エポキシ樹脂に要求される耐サーマルショック性向上を目的として,熱応力低減に着目した配合技術による材料設計を行なった.熱応力の低減に着目した材料設計では,線膨張係数や弾性率の低減が重要な要素となる.そこで,「低線膨張フィラーの適用」および「低弾性粒子の添加」という異なる2つのアプローチにて樹脂の配合検討を実施した.低線膨張フィラーとして,従来の結晶性石英より線膨張係数が一桁低く,また高充填が可能な球状溶融石英を用いることで,樹脂の線膨張係数の大幅な低減に成功した.また,低弾性粒子として,樹脂との密着性が良好な表面層を有するコアシェル構造のゴム粒子を用いることで,樹脂の弾性率低減に成功した.これら開発樹脂について,今回新たに確立した冷熱試験方法により,耐サーマルショック性を評価した結果,いずれのアプローチにおいても耐サーマルショック性が大幅に向上していることを確認した.