日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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bZIP型転写因子AREB1の転写活性化制御
*降旗 敬吉田 理一郎梅澤 泰史篠崎 一雄篠崎 和子
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p. 200

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抄録
シロイヌナズナrd29B遺伝子の乾燥応答による発現は、主にABAを介して制御され、プロモーター領域に存在する2個のABREをシス因子として、これにbZIP型転写因子AREBが特異的に結合して下流の遺伝子発現を制御している。AREBの転写活性化にはABAに依存した翻訳後修飾が必要だと考えられるが、タンパク質リン酸化のターゲット配列が高度に保存されていることなどから、AREBのリン酸化と転写活性化について調べた。
アミノ酸置換を導入したAREBタンパク質断片を基質として活性ゲル内リン酸化実験を行ったところ、T87培養細胞抽出液中にAREBの保存領域を含む断片に存在するkinaseターゲット配列(RxxS/T)のSer/Thr残基をABA依存的にリン酸化すると考えられるkinase活性が存在した。また、このAREB1断片はABAで活性化するSRK2タイプのkinaseでリン酸化された。
このSer/Thr残基をAraに置換したAREB1は、transactivation実験においてABAによる転写活性化が抑制され、N末側に存在する4ヶ所を置換した場合、ほぼ完全に抑制された。一方、Araの代わりにAspで置換すると、転写活性はABA非依存的に高くなった。全てのターゲットサイトのSer/ThrをAspに置換した変異型AREB1を発現する形質転換体では、rd29B遺伝子がABA非依存的に発現していた。また、このconstitutive active型AREB1変異体をABA欠損変異体aba2-1に導入した場合もrd29B遺伝子の発現が認められた。
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© 2004 日本植物生理学会
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