日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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臨界降伏圧(Y)を調節するタンパク質yieldinと相互作用する分子の単離と解析
*中里(岡本) 朱根三澤 心
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p. 255

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抄録
Yieldin(YLD)は、臨界降伏圧(Y)を制御して細胞壁の伸展を調節しているササゲ細胞壁から単離された約33kDのタンパク質である。我々はYLDが何らかの細胞壁構成物質と親和性があると予想し,YLD親和性分子(Yieldin Associated Molecule; YAM)の単離を試みた。
YLDを固定化したアフィニティクロマトグラフィを使って、ミトリササゲ芽生えの伸長成長部域由来の切片より分離した非セルロース性の細胞壁構成多糖からYAMの単離を行った。その結果、Xyl,Glc,ManおよびGalを5-6:3-4:1:8-10の割合で含む、分子量約120 kDの多糖が得られた。YAMとYLDの相互作用は酸性条件下で強く、pH4の条件下では1μgの YLDあたり約245μg のYAMが結合するのに対してpH6の条件下では結合量はその10分の1以下であった。またササゲ中空胚軸(GHC)を用いて再構成実験を行い、YAMがYにどのような影響を及ぼすかを検討したところ、100μg/mL以上の YAMをGHCにあらかじめ与えた場合、細胞壁の酸性化に伴うYの変化は完全に抑制された。これらの結果から、今回単離されたYAMがYLDによるY調節に何らかの重要な役割を持っていることが示唆された。
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© 2004 日本植物生理学会
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