抄録
我々はシロイヌナズナにおいて葉脈の連続性を制御するVAN3 遺伝子を同定した。VAN3は ArfGAPドメインを持つタンパク質をコードしており、小胞輸送の調節因子であることが予想される。本研究では VAN3の機能を明らかにするためにGTPase 活性の測定、および細胞内局在に関する解析を行った。
VAN3の GTPase 活性を示すために、in vitro で VAN3の酵母の Arf1p に対する GTPase 活性を測定した。するとGTPase 活性が実際に認められ、このことから VAN3はシロイヌナズナにおいてARFと相互作用し、小胞輸送を制御しうることが示唆された。次に VAN3が小胞輸送の如何なる過程を制御しうるのかを明らかにするために VAN3の C 末端に Venus を融合させたコンストラクトを作成し、CaMV35S プロモーターの制御下で一過的に発現させた。すると、細胞内において小さい輝点が観察された。この輝点はFM4-64 を用いて染色される細胞内小器官と共局在することから VAN3 はエンドソームに局在すると考えられた。現在、VAN3と GNOM ArfGEFの細胞内での共局在性及び VAN3遺伝子の発生段階での発現解析を行っており、このことと併せて報告する予定である。