日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナ野性株分類の試み
*井内 聖小林 正智
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p. 706

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抄録
 現在、シロイヌナズナ(Arabidopsis thariana)は高等植物を研究する多くの研究者が実験材料としている。2000年にはゲノムプロジェクトによってcol株の全ゲノム情報が明らかにされた。シロイヌナズナには多くの野生株や近縁種が存在するが、これまでの研究は数種類の野生株(標準株;collerなど)に限って研究が進められてきた。これは標準株を集中的に研究することによる実験結果を共有できるメリットがあるが、現在でも多くの未同定因子が存在していると考えられている。
 私たちは野性株や近縁種がこれらの新規因子を解析することに利用可能であると考えて、野性株利用の環境整備を行うことにした。シロイヌナズナの野性株は世界各地から集められて系統維持されているが、それぞれの野性株にある情報は形態学的な情報が主なものである。つまり、各研究者がすぐに野性株を利用して実験を行える状況にはない。そこで単離維持されていた300以上の野生株及び近縁種について分子マーカーの整備を行った。具体的には、12種類のSSLP(Simple Sequence Length Polymorphism)マーカーをすべての野性株に作製し野生株の分類を試みている。野性株の分子マーカー情報は、これから野性株を使った研究において非常に重要である。例えば、野性株の同定やQTL解析、ポジショナルクローニングによる原因遺伝子の同定にも必要である。今後できる限りマーカー数を増やしていきたいと考えている。
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© 2004 日本植物生理学会
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