日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
鈍的外傷後に形成され破裂に至った大腿深動脈仮性瘤に対する血管内治療の1例
関 功二 小尾 勇人大高 慎吾外川 正海上田 哲之湖東 慶樹
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2022 年 31 巻 6 号 p. 353-357

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抄録

症例は28歳,男性.自宅の机の角で左大腿部背側を打撲し腫脹疼痛が出現したため近医を受診したが打撲と診断され,その後症状は軽快傾向であった.しかし,左大腿部打撲から1カ月後,歩行中に突然左大腿部に疼痛腫脹が出現し歩行困難となったため当院を受診した.造影CTで左大腿深動脈仮性瘤破裂と診断し,血管内治療で金属コイルとゼラチンスポンジを用いた経カテーテル的動脈塞栓術を施行した.その後の経過は良好で,術後2週間で腫脹は完全に消失した.術後6カ月目に造影CTを施行したが,仮性瘤は認めず血腫も完全に吸収され,良好な経過であった.骨折を伴わない鈍的外傷後の仮性瘤形成は稀ではあるが,受傷後に腫脹疼痛が持続する場合は仮性瘤形成の可能性も考慮して造影CTでの精査が望ましい.患者の状態に応じて塞栓物質を選択,使用する必要はあるが,本症例のような血管内治療による経カテーテル的動脈塞栓術が低侵襲で非常に有効である.

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