日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

ペルオキシソームに局在する低分子量熱ショックタンパク質AtHSP15.7は分子シャペロン活性を有する
*狩野 和海真野 昌二西村 幹夫加藤 朗
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 802

詳細
抄録
低分子量熱ショックタンパク質(sHSP)は生物が熱などのストレスにさらされた時に発現が誘導される主要なストレスタンパク質である。高等植物では、細胞質や小胞体、ミトコンドリア、葉緑体に異なる分子種が局在し、分子シャペロン活性を持つことが明らかになっている。
我々はシロイヌナズナにおいて、ペルオキシソームへの局在が予想される新奇なsHSPとしてAtHSP15.7を見い出した。AtHSP15.7タンパク質はsHSPの保存領域であるαクリスタリンドメインと、C末端にペルオキシソーム輸送シグナルを持つ。本研究ではこのAtHSP15.7について、遺伝子発現解析、細胞内局在性の検討、および機能解析を行った。
まず、遺伝子発現パターンをRT-PCRによって解析したところ、AtHSP15.7は、高温ストレスによって発現が誘導されることが分かった。次に、細胞分画とイムノブロットを行った結果、高温ストレス処理したシロイヌナズナのペルオキシソームにAtHSP15.7の蓄積が認められ、AtHSP15.7がペルオキシソームに局在することが確認された。また、組換えタンパク質を用いたin vitro実験により、AtHSP15.7は化学変性したクエン酸合成酵素の高次構造の回復を助けることが明かとなった。これらの結果は、AtHSP15.7がペルオキシソームに局在し、分子シャペロンとして機能することを強く示唆する。
著者関連情報
© 2004 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top