日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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健康機能性組換えイネの可能性
*高岩 文雄
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p. S072

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抄録
 日本を含む先進国では、食生活を含む生活スタイルや居住環境の変化から、高血圧、糖尿病、高コレステロールなどの生活習慣病、また花粉症やダニアレルギーといったアレルギー疾患の患者数が急増している。 高齢化社会を迎え、こうした生活習慣病によってもたらされる各種疾患により国民医療費は増加し、国家財政を圧迫することは確実であることから、予防医療の重要性が叫ばれている。こうした背景から、生活習慣病やアレルギー疾患の予防や緩和する機能を持つ作物が開発され、毎日の食事を通じて病気を予防できるようになれば、このような遺伝子組換え作物は消費者に利点があることから社会的な認知が得られ、同時に今後急激に増加すると予想される医療費削減にも貢献できる。そこで我々は、高コレステロールや高血圧といった生活習慣病に対して、食物由来の生理機能性タンパク質や生理活性ペプチドを、日本人の主食であるお米の可食部の胚乳中に、高度に集積させた組換えイネを作出している。また花粉症やダニアレルギーなど1型アレルギーに対しては、抗原(アレルゲン)特異的なT細胞の反応性を抑えるため、アレルゲンのT細胞抗原決定基を種子胚乳中に蓄積させることで、食べるペプチドワクチン米としての開発を進めている。すなわち、日本人主食である米を毎日食べることで、生活習慣病やアレルギー疾患を緩和・予防できるような健康機能性米の可能性を検討している。
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© 2004 日本植物生理学会
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