日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナのABC タンパク質AtPGP4の発現および機能解析
*寺坂 和祥Angus S. Murphy佐藤 文彦矢崎 一史
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p. 044

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抄録

植物はそのゲノム中に多数のABC蛋白質遺伝子を有しており、シロイヌナズナではデータベース上に約130種のABCタンパク質遺伝子が見出されている。本研究では、植物のABCタンパク質の中でも、特に最近オーキシン輸送の観点から注目されているPGP(P-glycoprotein-like)サブファミリーのAtPGP4に焦点を絞り、機能解析を行った。まず、AtPGP4遺伝子の発現組織及び発現の環境応答性を明らかにするため、Northern解析とAtPGP4プロモーターGUSレポーターコンストラクトを用いた解析を行った。その結果、AtPGP4遺伝子は植物体中では根で最も高い発現を示すこと、及び様々な化合物、特にオーキシンやサイトカイニンの添加に対して正の応答することを認めた。根における強い発現は基部から先端にかけて見られ、主に表皮に特異的であった。また、ショ糖密度勾配遠心法および免疫染色法により、AtPGP4の局在膜が細胞膜であることを明らかにした。次に、T-DNA挿入変異株の表現型解析を行なった結果、野生株と比較して根の発達に明確な遅延が観察された。さらに、T-DNA挿入変異株と過剰発現体を用いて植物体におけるオーキシン輸送活性の解析を行なったところ、過剰発現体でオーキシン極性輸送が顕著に増大した。現在、このオーキシン輸送活性について、さらに詳細な解析を行なっている。

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© 2005 日本植物生理学会
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