抄録
葉緑体は、光合成や物質生産を担う植物の重要な細胞内小器官であるが、葉緑体を構成するタンパク質の多くは核にコードされている。シロイヌナズナは大量のタグライン・リソースが存在し、遺伝子破壊株を用いた網羅的解析が可能である。我々は核コードの葉緑体タンパク質の機能解析を目的に、それらを破壊したタグラインの大規模収集を行った。本研究で対象にした葉緑体タンパク質は、既存の代表的な4つの予想プログラム (iPSORT, PCLR, Predotar, TargetP) の内、少なくとも3つが葉緑体に移行すると予想した2090 個とした。これらの遺伝子の変異体の有無を理研の Ds タグラインおよび SALK の T-DNA タグラインデータベースから検索し、2004 年 6 月時点でそれぞれ 706 ラインと 2043 ラインの合計 2749 ライン存在することが分かった。破壊遺伝子数は 1277 個であり、全体の約 61 % である。現在ではタグラインの種類と数の増加により、約 80 % のタグラインが収集可能である。我々は収集したタグラインからアルビノまたは pale-green 変異体 (apg 変異体) の単離と、表現型に明らかな異常が見られない変異体のホモラインの作製を行っている。今後これらのホモラインを用いた各種スクリーニングを行い、葉緑体タンパク質の機能を明らかにしていく予定である。