日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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耐塩性向上活性を有するアッケシソウのアラビノガラクタンタンパク質
*赤塚 さと子山田 晃世田中 喜之小関 良宏
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p. 550

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抄録
アッケシソウ(Salicornia europaea)は、アカザ科に属する一年生草本で、塩湿地に生息する最も強力な耐塩性を有する塩生植物の1つである。本種は減少傾向にあり、その耐塩性機構については僅かな報告があるのみである。そこで、演者らは実験室内でも安定した増殖が可能な懸濁培養細胞系の確立を進めてきた。各種培養条件を検討した結果、2,4-D 1×10 -7 M、BA 1×10 -6 Mを含むMurashige-Skoog培地において、安定に増殖する懸濁培養細胞が得られた。この培養細胞は、600 mMのNaClが存在する極めて高い塩分存在下での増殖も確認された。これはアッケシソウの強力な耐塩性機構を解析する上で良いモデル材料になると思われる。さらに本研究では、大腸菌を用いた機能スクリーニング法により、アッケシソウの耐塩性に関与する遺伝子の単離を試みた。その結果、アラビドプシスのFasciclin-like arabinogalactan proteinとアミノ酸レベルで58%の相同性のある427アミノ酸からなるタンパク質をコードするcDNAが導入された大腸菌に耐塩性の向上が認められた。本研究では同タンパク質と耐塩性の関連性について検討を試みた。なお、本研究の一部はNEDOからの平成15年度産業技術研究助成事業の助成で行われた。
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© 2005 日本植物生理学会
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