日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

糸状性ラン藻Anabaena sp. PCC 7120の乾燥ストレス耐性におけるトレハロースの役割
*肥後 明佳加藤 浩大森 和子池内 昌彦大森 正之
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 551

詳細
抄録
乾燥耐性を持つ陸生ラン藻は、 壌改善に貢献する重要な役割を持つ生物として注目を集めつつあるが、ラン藻の乾燥耐性メカニズムは未解明な部分が多い。乾燥耐性ラン藻Abnabaena sp. PCC 7120において乾燥ストレスにより、トレハロース合成酵素遺伝子(all0168, all0167)、分解酵素遺伝子(all0166) がoperonとして誘導されることが既に示されている。トレハロースとは近年、ストレス耐性物質あるいはシグナル伝達物質として広く注目されている非還元性の2糖である。そこで我々は乾燥ストレス耐性におけるトレハロースの役割の解明を本研究の目的とした。Abnabaena野性株では乾燥ストレスによりトレハロースが少量蓄積した。トレハロース合 成酵素遺伝子 (all0168)破壊株では乾燥ストレス時のトレハロース含量が野性株に比べ減少し、乾燥耐性能も低下した。逆にトレハロース分解酵素遺伝子 (all0166)破壊株ではトレハロース含量が野性株に比べ増加し、乾燥耐性能も上昇した。少量蓄積されたトレハロースの役割を解明するため、Abnabaena野性株とall0168破壊株それぞれの乾燥ストレス時の発現プロファイルを microarray解析により比較した。これらの結果を基に乾燥ストレス耐性におけるトレハロースの役割を考察する。
著者関連情報
© 2005 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top