抄録
植物における種々の遺伝子の糖に応答した発現制御は複数のシグナル伝達経路を介して起こるが、糖に応答した遺伝子発現制御に関与する転写因子として同定されたものは僅かである。マイクロアレイを用いたシロイヌナズナ遺伝子のショ糖に応答した発現変動の解析から、短時間でmRNAレベルが顕著に誘導され、その誘導がタンパク質合成阻害剤で抑制されない推定転写因子遺伝子を選別し、リアルタイムRT-PCRでその変動が確認できたGRASファミリーに属するAtSCL4とAtSCL15の解析を進めた。
GRAS familyは植物固有の転写因子familyでシロイヌナズナには33遺伝子が存在し、AtSCL4とAtSCL15は機能未知遺伝子よりなる別々の機能未知のグループに属する。AtSCL4とAtSCL15の糖による発現誘導は、ヘキソキナーゼセンサー非依存的な糖代謝に依存したシグナルに応答すると推定され、AtSCL15についてはタンパク質レベルでの糖による誘導を確認した。両遺伝子共に、種々の植物ホルモンに応答した発現変動は見られなかった。AtSCL15プロモーターのGUS融合遺伝子は維管束や花糸で特異的に発現し、AtSCL4プロモーターではメリステム領域で特に強く発現した。AtSCL4とAtSCL15の機能解析のために、これら遺伝子の恒常的過剰発現体を作製した。