日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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高濃度亜鉛存在下で生育したクロレラ細胞が形成するZn-Chl aはPSIおよびPSIIに結合している
根本 晃希*池上 勇
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p. 619

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抄録
クロレラ培地に高濃度の亜鉛を加え、グルコース存在下・暗所で長期間培養するとZn-Chl aが形成され、全Chl aの約25%に達する。(1) 2,000倍の亜鉛濃度で培養したクロレラを破砕して得た膜片をTriton X-100 (0.3%w/w)またはβ-dodecyl maltoside (0.3%w/w)によって可溶化し、超遠心によって30,000rpmx20minの沈殿画分(30kppt)、50,000rpmx60minの沈殿画分(50kppt)、およびその上清画分(50ksup)を得た。(2)各画分のChl a/P700比から、30kpptにPSII、50kpptにPSI、50ksupにLHCPが多く含まれることが示された。(3) 低温ケイ光スペクトル測定によって、長波長ケイ光が50kpptでは予想されるほど大きく無く、長波長クロロフィル成分は分解されやすいと推定された。(4) Zn-Chl a/Chl a比は30kppt、50kpptでほぼ等しく、50ksupではかなり低かった。Zn‐Chl aは主にPSIおよびPSIIに均等に組み込まれていると推定された。(5) 亜鉛培地で生育させたクロレラのPSI、PSII画分のSDS PAGEでは、PSI、PSIIの本来のバンドが認められず、低分子量領域に向かってtailing が認められ、これらは容易に分解されやすいことが示された。
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© 2005 日本植物生理学会
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