抄録
光化学系II反応中心D1タンパク質は光や熱ストレスで損傷を受け、プロテアーゼによって分解除去される。この反応に関わるプロテアーゼはFtsHである可能性がある。
我々はシアノバクテリアSynechocystis PCC6803野生株とFtsH(slr0228)欠損株を用いて、光および熱ストレス下での細胞増殖、酸素発生活性、およびD1タンパク質の分解について調べた。光ストレスを与えるために細胞増殖実験では70μE・m-2・s-1の光を5日間照射し、酸素発生、およびD1分解の測定では500μE・m-2・s-1の光を60分間照射した。また熱ストレスでは、細胞増殖実験で40℃、5日間処理、酸素発生の測定で42℃、D1分解の測定では42-50℃で120分間までの処理を行った。熱と光のどちらのストレスを与えた場合も野生株は正常に増殖したが、ΔFtsH株では細胞増殖が抑制され、色素の退色が起きた。野生株にlincomycin(Lin)を加えて光または熱ストレスを与えると酸素発生が低下したが、Linを加えないものはストレス耐性であった。ΔFtsH株に熱ストレスを与えるとLinの有無に関わらず酸素発生が低下した。また、Western分析から、光または熱ストレス下では野生株でD1分解が起こるがΔFtsH株では分解が起こりにくいことが示された。
以上の結果から、光と熱のいずれのストレス下でも、D1分解には、FtsHが関与している可能性が高い。