日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナ硝酸塩蓄積変異体の選抜とその解析
*石橋 弘規小嶋 美保川地 太兵原田 久富美大竹 憲邦大山 卓爾末吉 邦
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p. 650

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抄録
植物の窒素栄養を理解する上で、硝酸イオンの輸送と蓄積の機構を明らかにすることは重要である。本研究では、硝酸イオンの蓄積に変異が生じたシロイヌナズナ突然変異株を選抜・解析したので報告する。EMSにより突然変異誘起処理されたシロイヌナズナのM2種子の1粒後代1372系統について、1系統10粒づつロックウール上に播種し、5mMの硝酸塩を含む培養液でかん水しながら連続光下で2週間栽培した。それらの植物について、野生株に比較して葉部硝酸イオン濃度が異なる8系統を選抜した。それら8系統のうち、葉部硝酸イオン濃度が野生株に比較して大きく低下した突然変異株522についてさらなる解析を行った。突然変異株522のM3植物と野生株との戻し交配後のF2世代植物を用いてχ2検定を行ったところ、関与遺伝子は1つであることが示された。F3世代植物(F3.522a7)を用いてこの突然変異株の示す生理的性質を調べた。変異系統の生理実験においては、水耕栽培した播種後3週間の植物を用いた。5mMの硝酸塩を含む培養液で生育させた植物における硝酸イオン濃度は、葉においては野生株の約60%、根においては野生株と同程度だった。また、硝酸還元酵素活性は、葉部および根部ともに野生株とほとんど違いがなかった。マッピングにより、変異の原因遺伝子は第5染色体上にあると推定されたが、詳細な検討を現在行っているところである。
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© 2005 日本植物生理学会
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