日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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亜硝酸トランスポーター・アイソフォーム(CsNitr1-L, CsNitr1-S)の発現と機能
*高橋 正昭ジョルジェスク ミハエラ杉浦 美羽
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p. 654

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抄録
硝酸のアンモニアへの還元は、細胞質硝酸還元酵素による硝酸還元と、それに続く葉緑体(プラスチド)亜硝酸還元酵素による亜硝酸還元の2つの反応で構成される。このなかで、反応中間体である亜硝酸の葉緑体への移行は硝酸同化の効率を決める重要な段階で、我々はこの輸送が水素イオンと亜硝酸の共輸送を行うトランスポーターに依ることを明らかにした。緑化中のキュウリ葉から亜硝酸イオンを輸送する亜硝酸トランスポーターのcDNA(CsNitr1)を得、Nitr1タンパク質が葉緑体の包膜に局在することを示した。
 植物の発芽、あるいは、緑化の初期に、CsNitr1のアイソフォームを見出し、N-末端に延長配列を持つアイソフォームをCsNitr1-L、持たないタイプをCsNitr1-Sと名付けた。ここでは、各々のアイソフォームの発現のタイミングを調べた結果と、それぞれのアイソフォームのC-末端にGFPを融合させたタンパク質の蛍光像により細胞内の局在部位を調べ、Lアイソフォームは葉緑体に、Sアイソフォームは細胞膜で機能することを報告する。
 以上の結果はLアイソフォームが硝酸同化過程で亜硝酸を葉緑体に輸送する機能を持つことを示す新たな証明となった。一方、Sアイソフォームの細胞膜での機能を調べるために、CsNitr1-SアンチセンスcDNAを導入した形質転換タバコを作成し、Sタイプの役割も明らかにした。
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© 2005 日本植物生理学会
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