日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ユーカリ木部分化組織における転写制御因子の発現解析
*佐藤 茂山田 奈々江中元 志穂日尾野 隆
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p. 688

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抄録
木本植物の木繊維形成過程では、細胞伸長や二次壁合成が起きている。製紙産業において、木繊維長や細胞壁の量は、紙の性質を決めるうえで重要なファクターである。木繊維形成過程には、多くの遺伝子が関わっていると考えられるが、それらの発現情報や発現制御メカニズムに関する知見は乏しい。我々は、木繊維形成過程での遺伝子発現制御メカニズムを明らかにするため、ユーカリのオリゴマイクロアレイを用い、転写制御因子の発現解析を行った。
ユーカリ木部分化組織の遺伝子発現プロフィールを得るため、3種類のユーカリ(2年生木の下部, 5年生木の上部と下部)を用いてオリゴマイクロアレイ実験を行った。得られた発現プロフィールから、セルロース合成やリグニン合成に関与する遺伝子群の発現トレンドを解析した。その結果、それらの発現トレンドは、2つのグループ(Type 1 and 2)に分類された。Type 1遺伝子群は、2年生木の下部で最も強い発現を示し、Type 2遺伝子群は、5年生木の上部で最も強い発現を示した。次に、上記Type 1と2と同様の発現トレンドを示す遺伝子群を同定した。同定された遺伝子群の中には、多数の転写制御因子が含まれていた。これらの因子は、2種のトレンドを示す遺伝子群の発現制御に関与していることが示唆される。現在、これらの制御因子の機能解析のを行っている。
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© 2005 日本植物生理学会
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