抄録
アポプラストのレドックス環境は細胞壁代謝と細胞成長を左右する重要な要因の1つである。以前、外部から与えたグルタチオン(GSH)が明所で育てたアズキ芽生えの上胚軸切片の成長を強く促進すること、そしてそれがアポプラスト内で作用する可能性を示唆した(日本植物学会第68回大会)。本研究では、レタス芽生えの成長と内生GSH濃度の相関を明所25℃の条件下で継時的に調べた。特に輸送型GSHが細胞成長を制御するのではないかという仮説に基づき、ソース器官と思われる子葉とシンク器官である下胚軸、第一葉および根のGSH含量に注目した。その結果、発芽後、初め高い子葉のGSH含量が徐々に著しく減少すること、かわりに下胚軸および8日目以降出現する第一葉のGSH含量が上昇することがわかった。根のGSH含量は常に低く一定の値を占めていた。レタス地上部の成長は一次元クリノスタット上での回転培養によって促進されることがわかっている。この条件下で下胚軸と第一葉のGSH含量を測定したところ、コントロール(静置条件)の約2倍にまで増加していた。すなわち、その成長促進とGSHの輸送もしくは生合成との間に正の相関があることが示された。ホモグルタチオンを主要なチオールとして含有するアズキ芽生えでは上記のような成長促進はみられなかった。以上の結果から、レタスの下胚軸の伸長成長と葉の伸展にGSHが重要な役割をもつことが示された。