抄録
遺伝的変異種であるシダレザクラ(Prunus spachiana)は、伸長停止肥大成長部位に支持組織である「あて材」を形成することができず、枝の伸長成長が進むと機械的な強度不足により枝の自重を支えることができなくなるため、下方成長して「しだれ性」を示す。しかし、その成長初期の頂芽にジベレリンを与えると、枝は立性と同様に上方成長し、しだれ現象が阻害されることがわかっている。そこで本研究では、シダレザクラのジベレリン生合成に関して検討したので報告する。まず、ジベレリン生合成遺伝子について、立性との間に差が見られるかどうかを検討した。活性型ジベレリンであるGA1を合成するジベレリン3β水酸化酵素遺伝子(3ox)をクローニングしたところ、その塩基配列は立性としだれ性において同一であった。そこで、その3oxの配列の一部をリアルタイムRT-PCR法で増幅して、3oxのmRNAの蓄積量を比較した。その結果、シダレザクラにおいては、枝の成長期の間、3oxの発現量が立性と比べると多いことがわかった。また、枝の内生ジベレリン量についても検討したところ、GA1の内生量がシダレザクラの伸長帯に集中して高いことがわかった。