抄録
過去46年間に癌研究会附属病院で切除された大腸異時多発癌64例につき臨床的特徴および治療上の問題点を検討した.
第1癌の手術時平均年齢は51.5歳と単発大腸癌に比べて若く,男女比は1. 9:1と男性に多かった.腫瘍発生部位は単発大腸癌に比べて,右側結腸に多い傾向であった.また第1度近親者に大腸癌患者を有する症例は17.2%,腫瘍性ポリープ併存率は45%,他臓器重複癌は26.6%で,これらは異時多発癌の危険因子と考えられた.
第1・2癌の発生間隔は,平均7年11カ月, 5年以上が54.7%で長期のfollow upが必要と思われた.
手術に際して,第1癌の手術時の血管処理のために第2癌の手術時に郭清範囲が制限される場合がある.上記の危険因子を持つ症例では,初回手術に際して,可能であれば主要血管の温存が望ましいと思われた.