抄録
本演題ではトランスポゾンタグラインから単離した表皮細胞のクチクラが欠損した変異体cof1 (cuticular defect and organ fusion)を報告する。cof1変異体は本葉で器官の融合を示し、また不稔であった。トルイジンブルーテストやSEM、TEMによる観察からこの変異体では茎や葉のクチクラが減少していることが明らかになった。さらに、表皮細胞のワックス成分をガスクロマトグラフィーを用いて成分分析したところ、野性株と比べてクチクラ層を構成する主要な脂質成分、特にアルカンが著しく減少していた。このcof1変異体の原因遺伝子はWBCサブファミリーに属するABCトランスポーターであり、クチクラ欠損変異体cer5の原因遺伝子AtWBC12と相同性が高い遺伝子AtWBC11であることが分った。CER5は茎の表皮細胞の細胞膜に局在し、ワックスの成分である脂質を細胞内から細胞外へと輸送するのではないかと考えられている。またCFPとAtWBC11の融合タンパク質を用いてAtWBC11の細胞内での局在を調べたところ、細胞膜に局在すると考えられた。これらの結果からCOF1/AtWBC11はクチクラのワックスの輸送に関与することが強く示唆された。