日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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レタスの青色光による根毛伸長誘導には光合成は関与していない
*奈良 好記加藤 彩子今野 利栄岩井 雅子井上 康則
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p. 866

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抄録
酸性ストレスによって誘導されるレタス根毛の伸長には高光量(3.6 Wm-2 、9時間以上)の青色光が根端に照射される必要がある。このことから、根における光合成またはその産物が根毛の伸長誘導に必須の因子になっている可能性がある。そこで本研究では青色光による根毛伸長誘導過程において光合成が関与しているかどうか検証を行った。
まず、青色光の長時間照射により根端でクロロフィルが合成されるかどうかについて調べたところ、9時間の照射時、赤色光下で育てたレタスの根ではクロロフィル合成は確認できなかったが、青色光下ではわずかにクロロフィルの吸収ピークを確認できた(1.8 μg/ Fw・g)。酸性条件下、青色光照射時に光合成阻害剤を培地中に添加すると、100 μMのDCMUおよび10 μMのDBMIBで根毛の伸長が完全に阻害された。しかしながらこの阻害は培地中へのショ糖及びブドウ糖添加では回復しなかった。パルス振幅変調を用いたクロロフィル蛍光測定法による光合成活性測定では青色光下または赤色光下で育てたレタスの根では全く検出することができなかった。また、暗黒下で培地中に糖を1%(w/v)添加したところ、主根の伸長は促進される(ショ糖;3倍、ブドウ糖;1.5倍)ものの根毛の伸長は起こらなかった。
以上の結果と赤色光には根毛伸長誘導効果が無いこととをあわせると、光による根毛伸長誘導は光合成を介していないことがわかった。
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© 2007 日本植物生理学会
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