日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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トウモロコシ由来Dof1転写制御因子を導入した組換えバレイショの解析
*木坂 広明三輪 哲也柳澤 修一
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p. 273

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抄録
トウモロコシ転写制御因子Dof1遺伝子を導入したシロイヌナズナ形質転換体は、葉の遊離アミノ酸や総窒素量の増大など、窒素同化の亢進を示唆する表現型を示し、窒素を制限した条件下での生育が改善することが示された(1)。今回、Dof1遺伝子の他の植物種における効果の検証とソース器官とシンク器官での効果の評価を目的に、バレイショのDof1遺伝子形質転換体を作出した。Dof1形質転換バレイショでは遺伝子を導入していない非形質転換バレイショに比べて、葉の遊離アミノ酸含量が最大1.4倍に増加しており、特に、アスパラギンやグルタミンなどのアミド型アミノ酸の増加が顕著であった。また、定植3ヶ月目の栽培終了時には、地上部の生重量、塊茎数、および、塊茎重量の増加が認められた。塊茎成分の分析から塊茎中の遊離アミノ酸含量の大きな減少とデンプン含量の増加が示された。塊茎収量の増加を加味すると、株当たりのデンプン含量が、最大約2倍に増加していた。これらのことから、Dof1遺伝子はバレイショにおいても、シロイヌナズナ同様に機能し、窒素同化の亢進がシンク器官での物質蓄積を促進した可能性が考えられた。(1) Yanagisawa, Akiyama, Kisaka, Uchimiya, Miwa (2004) PNAS, 101, 7833-7838.
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© 2006 日本植物生理学会
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