日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

孔辺細胞の細胞膜H+-ATPaseのin vitroでのリン酸化反応と複合体の解析
*木下 俊則島崎 研一郎
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 351

詳細
抄録
気孔は青色光に反応して開口するが、この時、青色光は孔辺細胞の青色光受容体フォトトロピンに受容され、細胞膜H+-ATPaseを活性化して気孔開口の駆動力を形成する。これまでの研究により、孔辺細胞の細胞膜H+-ATPaseはC末端スレオニン残基のリン酸化とリン酸化部位への14-3-3蛋白質の結合により活性化されることが明らかとなっているが、このリン酸化反応に関わるプロテインキナーゼやホスファターゼの特質は不明である。本研究では、ソラマメ孔辺細胞を材料として、細胞膜H+-ATPaseのin vitroでのリン酸化反応の解析を行った。その結果、細胞膜H+-ATPaseは単離したミクロゾーム画分においてATPに依存してリン酸化され、この反応はキナーゼ阻害剤K-252aに非感受性であった。また、脱リン酸化反応もミクロゾーム画分において観察され、この反応はEDTAにより阻害されることが明らかとなった。さらに、これらのリン酸化・脱リン酸化反応は、界面活性剤処理したミクロゾームにおいても観察されることから、プロテインキナーゼやホスファターゼは細胞膜H+-ATPaseと複合体を形成している可能性が示唆された。そこで、細胞膜H+-ATPase複合体について免疫沈降やゲル濾過による解析を行ったところ、細胞膜H+-ATPaseはいくつかの未知蛋白質と複合体を形成していることがわかった。
著者関連情報
© 2006 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top