日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

ユズの果実の絞り粕のアレロパシー活性とアレロパシー物質
*田中 亨勇加藤 尚
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 489

詳細
抄録
食品加工の過程で大量に廃棄されているユズの果実の絞り粕の再利用法を検討するため、ユズ果皮が植物の生長に与える影響を調べた。 凍結乾燥したユズ果皮を粉砕し、その粉末のアレロパシー活性を測定した。 その結果、微量のユズ果皮が検定植物の生長を抑制し、アレロパシー物質が含まれていることが明らかになった。 次に、そのアレロパシー物質を明らかにするため、ユズ果皮の抽出物の分離・精製を試みた。 その結果、アブシジン酸-β-D-グルコシドエステル(ABA-GE)が主要な生長抑制物質として単離された。 次に、ABA-GEと(+)-ABAの生長抑制活性を比較した。 その結果、ABA-GEはレタスの生長を抑制し、その生長抑制活性は(+)-ABAと比べ、1/3程度であった。 さらに、ユズ果実の絞り粕を果皮、じょうのう、種子に分け、それぞれの抽出物の生長抑制活性とそれらのABA-GEの濃度を測定した。 その結果、生長抑制活性とABA-GEの濃度は果皮、じょうのう、種子の順に大きかった。 また、生長抑制活性とABA-GEの濃度の間には強い相関関係があった。
以上のことから、ABA-GEはユズの果実のアレロパシーにおいて重要な役割をもっており、ユズ果実の絞り粕は化学合成農薬に代わる新しい雑草防除手段として有効であることが示唆された。
著者関連情報
© 2006 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top