日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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RNAi 法によるイネ複数BE 遺伝子制御
*伊藤 瑞穂Francisco Perigio澤田 隆行中村 保典
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p. 560

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抄録
イネ胚乳内のアミロペクチン合成に大きく関与する酵素の一つstarch branching enzyme( BE )には三種類のアイソザイム BEI、BEIIa、BEIIb が確認されており、それぞれ発現パターンが異なっている。今回各BE アイソザイムの機能と相互作用を解析するために、プロモーターにはglutelin ( GluB-1 )を用いてRNAi( RNA 干渉 )法により個々のBE 遺伝子単独と複数のBE遺伝子を制御した形質転換体「BEI」、「BEIIa」、「BEIIb」、「BEI+BEIIa」、「BEI+BEIIb」、「BEIIa+BEIIb」、「BEI+BEIIa+BEIIb」の作成を試みた。Native-PAGE によるBE活性測定とアミロペクチンの鎖長解析の結果、各形質転換体のBE 遺伝子には発現抑制が認められた。
得られた種子を用いて各BE アイソザイムの相互作用が及ぼすデンプン合成への影響を重点的に調べた。その結果、「BEI+BEIIb」では単独で抑制した効果よりも顕著な相乗効果が種子の形態に認められた。即ち、「BEI」「BEIIa」では種子の形態にほとんど何も変化が無く、「BEIIb」では種子が白濁しやや小粒であるのに対し、T1世代(分離世代)の種子において、「BEI+BEIIb」では重量が顕著に少ない扁平な白濁種子が約75%も出現した。この表現型は「BEIIa+BEIIb」においても約30%現れた。以上の結果は、BEIIb抑制と他のBEアイソザイムの抑制が組み合わせることにより増幅されることが明らかになった。
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© 2006 日本植物生理学会
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