日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネFOXラインを用いた光合成関連変異株の単離
*樋口 美栄子松井 敬子市川 尚斉近藤 陽一石川 明苗川島 美香廣近 洋彦松井 南
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p. 904

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抄録
我々は、イネ完全長cDNAをシロイヌナズナにおいて過剰発現させたイネFOX(full-length cDNA overexpressor)ラインを作成し、これらのラインから有用な形質を持つ変異体を単離することによりイネにおける有用遺伝子の同定を目指している。本研究においては、植物の生育に必須である光合成反応に着目し有用遺伝子の探索を行った。クロロフィル蛍光は光合成の状態をよく反映すると考えられており,古くから多くの光合成研究に用いられてきた。そこで、クロロフィル蛍光を二次元画像として経時的に測定できるシステムを用いたスクリーニングを行っている。スクリーニングにはT2世代を用い、励起光照射によるクロロフィル蛍光のクエンチングを測定し、各ラインのクロロフィル蛍光強度の時間変化と光合成パラメーターの平均値を野生型と比較した。これまでに、1. 熱放散(NPQ)が小さい、 2. 光化学系IIの最大量子収率(Fv/Fm)が小さい、 3. 光化学系IIの実効量子収率(ΦII)が小さい、という表現型を示すラインが単離されている。また強光ストレス(2,000 µE, 1 h)後のFv/Fmを指標としたスクリーニング、蒸散能の違いを反映する葉温によるスクリーニングも同時に進行中であるのであわせて報告したい。本研究は、平成17年度科学振興調整費「イネ完全長cDNAによる有用形質高速探索」によって行なわれている研究である。
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© 2006 日本植物生理学会
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