日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナ花芽分化誘導における統御過程の遺伝的制御ーHD-GL2型遺伝子PDF2を介してー
*鈴木 光宏山口 暢俊渡辺 秀明森下 貴史松山 善亮米田 好文
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p. S005

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抄録
シロイヌナズナの花芽分化誘導過程は4つの促進経路と、これらの促進経路を統御する過程で構成されており、その全体像が明らかにされつつある。一方で、花芽分化誘導過程に関与する既知の遺伝子ネットワーク以外にも、花芽分化誘導に影響を与える遺伝子が存在する可能性がある。このような新たな可能性を検討するために、シロイヌナズナPROTODERMAL FACTOR2 (PDF2) 遺伝子に着目した。PDF2遺伝子はHD-GL2型遺伝子で、茎頂分裂組織のL1層で発現し、表皮系の分化・維持に関与している。一方でPDF2遺伝子の過剰発現体は花芽分化誘導遅延の表現型を示す。この知見は、過剰発現したPDF2が花芽分化誘導を抑制しており、PDF2が表皮系の分化・維持だけではなく、花芽分化誘導の過程においても機能することを意味する。そこでPDF2過剰発現体を用いて、花芽分化誘導遅延表現型について分子遺伝学的に解析した。その結果、PDF2の過剰発現による花芽分化誘導遅延は、統御過程のFTより上流での制御が示唆された。また、PDF2の過剰発現を介した、あるいは、PDF2のように花芽分化誘導過程に影響を及ぼす因子を探索するために、PDF2過剰発現体種子に対して突然変異源処理を行い、花芽分化誘導遅延の表現型が回復する突然変異体の単離を試みた。本発表ではPDF2過剰発現体の花芽分化誘導遅延表現型の詳細な解析と、PDF2遺伝子と既知の花芽分化誘導経路との関わりを検討する。
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© 2006 日本植物生理学会
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