日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ケミカルジェネティクスを用いたシロイヌナズナ種子発芽のメカニズムの解析
*土屋 雄一朗神谷 勇治南原 英司Cutler SeanMcCourt Peter
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p. 040

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抄録

低分子有機化合物を利用して遺伝学的解析を行うケミカルジェネティクスは近年発展してきた新たな手法である。我々は、この手法を用いて種子発芽に関わる新奇化学合成化合物を同定した。10,000の人工化合物からなるライブラリーをスクリーニングし、発芽後3日の間に子葉の緑化と伸張を阻害する化合物(以下E化合物と呼ぶ)を5個発見した。遺伝学的解析を行った結果、植物ホルモンのアブシジン酸とジベレリンに関わる突然変異株でE化合物に対する応答性に変化が見られ、E化合物がこの二つのホルモンのシグナル伝達に関わっている可能性が示唆された。さらに、この化合物に耐性の突然変異株を新たにスクリーニングし、その中からelongated hypocotyl1(hy1)突然変異株が分離された。hy1突然変異株は光形態形成に欠損を生じた突然変異株として知られる一方で、プラスチドレトログレードシグナルに欠損を生じたgenome uncoupled2としても分離されており、E化合物とABA、GAおよびプラスチドレトログレードシグナルとの関連を議論する。

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© 2007 日本植物生理学会
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