日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネ科NIPのケイ酸輸送特性の解析
*三谷 奈見季山地 直樹且原 真木馬 建鋒
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p. 053

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抄録
イネ科のNIPはその類似性に基づいて大きく3つのサブグループに分類されている。イネの根から同定されたケイ酸トランスポーターLsi1はNIP2サブグループに属している。今回はアフリカツメガエル卵母細胞のアッセイ系を用いて他のNIPのケイ酸輸送活性をまず比較した。その結果、イネNIP1:1とNIP3:1は輸送活性を示さなかったが、Lsi1と同じNIP2に属するLsi6、トウモロコシのZmNIP2-1と2-2はLsi1と同様ケイ酸の輸送活性を示した。次にLsi1の基質特異性について調べた。Lsi1はグリセロールに対して輸送活性を示さなかったが、尿素やホウ酸に対して輸送活性を示した。しかし、ケイ酸と等モルの尿素の共存下でケイ酸の輸送活性が影響されなかった。また等モルのホウ素の共存下で、ケイ素の輸送活性は20%減少した。これらのことはLsi1がケイ酸に対して高い親和性を持っていることを示している。またLsi1のケイ素輸送活性は水銀により阻害されたが、低温では阻害されなかった。さらにトウモロコシZmNIP2-1の細胞局在性を抗体染色で調べたところ、イネのLsi1とは異なり、根の表皮細胞に局在していた。これらの結果からZmNIP2-1はイネのLsi1と同様、トウモロコシの根の細胞内へのケイ酸輸送を担っていると考えられる。
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© 2007 日本植物生理学会
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