日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

イネケイ酸輸送体Lsi6の機能解析
*山地 直樹三谷 奈見季馬 建鋒
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 054

詳細
抄録
イネは代表的なケイ素集積植物であり、その安定多収にはケイ素の蓄積が欠かせない。我々はケイ素の吸収能力が低下したイネの変異株を用いて、陸上植物から初めてケイ素の吸収に関わる遺伝子(Lsi1, Lsi2)を単離し、それらのコードするトランスポーターがいずれも根の外皮と内皮に特徴的な局在を示すことを昨年報告した。ここではLsi1と相同性が高いイネの遺伝子Lsi6の機能解析について報告する。アフリカツメガエルの卵母細胞にこの遺伝子を発現させると、Lsi1と同様にケイ酸の輸送活性を示した。 Lsi1, 2が根にのみ発現するのに対して、Lsi6は根と地上部の双方で発現がみられた。免疫組織染色の結果、葉鞘と葉身の導管に隣接する柔組織に局在していることがわかった。T-DNAが第二イントロンに挿入された株では、短期間の根からのケイ酸吸収には変化がみられなかった。しかし、葉身へのケイ素の蓄積を観察したところ、野生型では葉脈に沿ったケイ化細胞に続いて機動細胞が選択的にケイ化されるのに対して、変異株では機動細胞に加えて、背軸側の表皮細胞が高い頻度でケイ化されていた。これらの結果からLsi6は導管からのケイ酸のアンローディングに関与し、それに続く組織特異的なケイ素の蓄積に影響すると推測された。
著者関連情報
© 2007 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top