日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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OsNAC4により転写制御される遺伝子群の同定と過敏感細胞死の実行
*多賀 有里金田 隆志福田 恵太磯貝 彰蔡 晃植
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p. 126

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抄録
過敏感細胞死は、植物が非親和性病原菌を認識したときに速やかに誘導される免疫反応の一つであり、DNAの断片化や核の収縮などを伴うプログラム細胞死である。これまで我々は、過敏感細胞死の誘導に植物特有の転写因子であるOsNAC4が関与していることを明らかにしてきた。今回、OsNAC4によって転写制御される遺伝子を解析し、過敏感細胞死実行に関する新たな知見を得たので報告する。イネ野生株培養細胞とOsNAC4のRNAi抑制形質転換培養細胞に過敏感細胞死を誘導するAcidovorax avenaeイネ非親和性菌株と水をそれぞれ接種し、経時的にRNAを調製し、22Kのオリゴマイクロアレイチップを用いて解析を行った。その結果、イネ野生株で非親和性菌株接種により特異的に発現誘導が認められる遺伝子のうち、OsNAC4のRNAi抑制株で発現誘導が認められない遺伝子が143個同定された。これら遺伝子の構造を詳細に調べたところ、分子内にEF handを持つOsHEN1と名付けたエンドヌクレアーゼ様分子をコードする遺伝子を見いだした。そこで、OsHEN1遺伝子をイネ細胞内で一過的に発現させたところ、核DNAの断片化が速やかに誘導されることが明らかになった。以上のことから、OsNAC4はOsHEN1を介して過敏感細胞死を誘導することが示唆された。
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© 2007 日本植物生理学会
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