日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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転写因子OsNAC4によって誘導される過敏感細胞死の機構解析
*金田 隆志高山 誠司磯貝 彰蔡 晃植
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p. 125

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抄録
我々は、植物の免疫反応の一つである過敏感細胞死の誘導機構を分子レベルで明らかとすることを目的として研究を行った。その結果、イネ非親和性菌株によって誘導される過敏感細胞死はシクロヘキシミドによって阻害されることが示され、過敏感細胞死誘導には新規のタンパク質合成が必須であることが明らかになった。そこで、過敏感細胞死誘導に関与する因子をPCRサブトラクションとマイクロアレイを併用して解析したところ、分子内にNACドメインを持つ植物特有の転写因子OsNAC4が同定された。OsNAC4遺伝子をイネ培養細胞や生葉に導入し、一過的に過剰発現させたところ、DNAの断片化を伴う細胞死が誘導された。次に、OsNAC4の RNAi抑制形質転換細胞を作出し、過敏感細胞死を誘導しうる植物病原菌Acidovorax avenaeの非親和性菌株を接種したところ、過敏感細胞死の誘導は認められなかった。このとき、過敏感細胞死誘導時に認められるDNAの断片化や特徴的な形態変化も同様に認められないことが示された。さらに、OsNAC4の局在を調べたところ、非親和性菌株の接種により細胞質から核へ速やかに移動することが示され、OsNAC4が蓄積した核では、核膜の収縮やクロマチンの凝集といった過敏感細胞死特有の変化も認められた。以上のことは、OsNAC4がイネ培養細胞の過敏感細胞死を正に制御することを示している。
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© 2007 日本植物生理学会
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