日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナのPseudomonas syringaeに対する防御応答を制御するシグナル伝達ネットワークの解析
*佐藤 昌直Lenarz-Wyatt Lisa渡辺 雄一郎片桐 文章
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p. 129

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抄録
植物の病原体感染に対する防御応答シグナル伝達ネットワークの解明は以下の理由で困難であった。1)防御応答に関わるシグナル伝達経路群は高度にクロストークしており、それぞれに対する単独の観察では全体の挙動が把握できない。2)PAMPsやエフェクターなどの多数の因子が病原体感染時には同時に、あるいは経時的に植物の防御応答を誘導する。3)防御応答シグナル伝達ネットワークの一部は遺伝子変異などの妨害に対しロバストであり、詳細なシステムの挙動解析が必要である。これらを克服し、防御応答シグナル伝達ネットワークの構造と機能を明らかにするために、我々は定量的かつ多数のパラメーターについて平行したデータ収集を基盤とした方策をとっている。防御応答シグナル伝達ネットワークに対する撹乱(例 遺伝子変異・欠失)を導入後にシステムの挙動に関する観察を行い、防御応答シグナル伝達ネットワークのモデルを構築するのが目的である。そのため、我々は定量性、再現性が高く、低コストのカスタムマイクロアレイを開発し、逆遺伝学と遺伝子発現プロファイリングを組み合わせたシグナル伝達因子スクリーニングを開始した。既知の変異体を用いた解析から防御応答シグナル伝達ネットワークにおける各遺伝子の相対関係モデルや病原体からの別個の防御応答誘導因子によって活性化される共通シグナル伝達経路、およびそれを制御する鍵遺伝子が明らかになっている。
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© 2007 日本植物生理学会
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