2012 年 68 巻 6 号 p. II_403-II_410
持続可能性を高めていくためには,適切な評価指標を継続して用いる事が必要不可欠であると考えられる.本研究では,持続可能性指標の取り組みが進んだ複数の国を対象に,経年的な指標の変遷を分析し,各指標の継続性を明らかにした.この結果,持続可能性の解釈が,当初重視されていた環境面から社会面へと変わったことが,指標の変遷から定量的に示された.加えて,指標の改訂によって一国での改善が困難な経済面の指標が削減され,政府の施策で改善が可能な社会面の指標が継続して用いられていることが明らかとなった.更に個別に見ると,政治的影響を受けて指標が利用されなくなる国や,当初設定された指標の目標値が削除されてしまう国があることが明らかとなった.