日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

DNAトポイソメラーゼIV複合体による核内倍加過程は、本当に細胞サイズ制御に必須か:染色体倍化によるendoreduplicationの代替
*塚谷 裕一Breuer ChristianStacey Nicola藤倉 潮堀口 吾朗杉本 慶子
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 152

詳細
抄録
近年、シロイヌナズナに関する解析から、暗所における胚軸の徒長や、葉の表皮細胞の大型化、巨大単細胞である毛の分化などに、細胞自律的なゲノム倍加、核内倍加が重要な役割を果たしていることが知られてきた。コルヒチン処理などで作出される倍数体の場合は、染色体数が純増するのに対し、核内倍加の場合は、細胞がM期をスキップすることでゲノム量が倍加するため、多価染色体を形成し、染色体数そのものは変化しない。
最近、杉本らは後者の核内倍加過程に欠損を持つ変異体群の解析から、シロイヌナズナの正常な細胞伸長過程に、DNAトポイソメラーゼIV複合体に依存した核内倍加が必須であることを示してきた。しかしDNAトポイソメラーゼの異常は、核内倍加の欠損とは独立に、細胞伸長過程の欠損を引き起こす可能性も残されている。今回我々は、核内倍加変異体群のうち、rhl2変異体およびbin4変異体について、それぞれ4倍体を作出し、表現型の解析を行なった。その結果、2倍体背景では著しい矮小形質を示す両変異体が、4倍体にすることで、細胞伸長に関し顕著な回復を見せることが判明した。このことは、両変異体の矮小形質が、核内倍加の欠損に起因することを示すと共に、核内倍加と染色体数の倍加とに共通した細胞肥大制御系の存在を示唆するものである。本大会では、以上の結果に加え、その他の矮小変異体に関する4倍体の形質についても合わせて考察したい。
著者関連情報
© 2007 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top