日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ジベレリンを代謝するシロイヌナズナのメチル基転移酵素の発見
Varbanova Marina*山口 信次郎Yang YueMcKelvey Katherine花田 篤志Borochov RoyYu Fei軸丸 裕介Ross JeannineCortes DiegoMa Choong JeNoel JosephMander LewShulaev Vladimir神谷 勇治Rodermel SteveWeiss DavidPichersky Eran
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p. 169

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抄録
メチル基転移酵素(MT)は、植物の多様な代謝経路において機能する。我々は、シロイヌナズナの二つのMTがジベレリンの6位のカルボキシル基のメチルエステル化を触媒することを発見し、これらをGAMT1、GAMT2と命名した。ジベレリンのカルボキシル基は生理活性に必須であり、メチルエステル化などの化学的な修飾によりその生物活性が顕著に低下することが知られている。これらの酵素の植物体内での機能を検証するため、それぞれのGAMT遺伝子を過剰発現する形質転換シロイヌナズナを作出したところ、内生ジベレリン量の減少を伴って植物体が矮化した。gamt1, gamt2およびgamt1 gamt2二重変異株を獲得し、GAMT1, GAMT2遺伝子の発現が主要に認められるさやにおける内生ジベレリン量を測定したところ、二重変異株におけるGA1の内生量が野生型と比較して約10倍に増加していることが明らかとなった。また、gamt変異株種子は、発芽時にジベレリン生合成阻害剤に対する耐性が高まっていた。以上の結果から、GAMT1とGAMT2はシロイヌナズナ種子中の新奇なジベレリン不活性化酵素として機能するものと考えられる。
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© 2007 日本植物生理学会
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