日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナCYP714A1はジベレリンを不活性化する
野村 崇人*真籠 洋花田 篤志武田-神谷 紀子Mander Lewis神谷 勇治山口 信次郎
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p. 170

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抄録
我々はこれまでにイネの最上位節間が著しい徒長を示すeui変異体の原因遺伝子が、シトクロムP450のひとつであるCYP714D1をコードしており、本タンパク質がジベレリン(GA)のC-16(17)の二重結合をエポキシ化する新奇のGA不活性化酵素であることを明らかにした。同様のGA不活性化機構が他の植物種に存在するかどうかを明らかにするため、シロイヌナズナにおいてイネCYP714D1に最も高い相同性を示すCYP714A1の機能解析を行った。酵母において発現させたCYP714A1組み換えタンパク質の各種GAの代謝産物を、GC-MSにより分析した。その結果、本タンパク質はGA12をエポキシ化とは異なる反応で変換する活性を持つことが明らかになった。この変換産物はGA欠損変異株ga1-3に対して、顕著な生長促進効果を示さなかったことから、CYP714A1を介した反応経路はGAの不活性化であることが示唆された。そこでCYP714A1を過剰発現するシロイヌナズナを作製したところ、多くのラインでga1-3変異体と同様の厳しいわい性を示した。さらにこの植物体のわい性はGA4投与によって回復した。以上の結果から、シロイヌナズナのCYP714A1はイネCYP714D1とは異なる触媒活性をもつGA不活性化酵素であることが強く示唆された。
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© 2007 日本植物生理学会
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