日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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葉緑体 in vitro 翻訳系を用いた psbN mRNA 翻訳開始機構の解析
*黒田 洋詩杉浦 昌弘
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p. 270

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抄録
植物の葉緑体は独自のゲノムおよび遺伝子発現系をもち,遺伝子発現制御においては,転写だけでなく翻訳などの転写後の過程が非常に重要な役割を果たしていることが知られている.葉緑体の翻訳装置は原核生物のものに類似しているが,原核生物とは異なり,5'非翻訳領域 (5'UTR) に Shine-Dalgarno (SD) 様配列が存在しない mRNA が多く存在する.それらの翻訳開始の促進と翻訳開始点の決定にはトランス因子の関与が考えられているが,そのメカニズムは明らかとなってはいない.そこで我々は,新しい葉緑体 in vitro 翻訳系を用いて,SD 配列のないタバコ葉緑体 psbN mRNA の翻訳開始に必要なシス領域とトランス因子について解析を行った.その結果,psbN mRNA には2つの異なる翻訳開始点があることが明らかとなった.さらに,ゲルシフト法により反応液中のタンパク質濃度に依存したバンドシフトが観察され,また,UV クロスリンク法によりトランス因子と考えられるバンドを検出した.現在,より詳細な解析を行っており,その結果について報告する.
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© 2007 日本植物生理学会
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