日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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紅藻Cyanidium caldarium由来光化学系II複合体の精製・結晶化
*足立 秀行榎並 勲逸見 隆博神谷 信夫沈 建仁
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p. 325

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抄録
光化学系II複合体(PSII)の中心部分は原核生物から真核生物まで高度に保存されているが、酸素発生にかかわっている表在性タンパク質や低分子量サブユニットの一部は生物種によって異なっている。PSIIの立体構造は、原核生物であるラン色細菌由来のものについて報告されているが、真核生物由来のものについては報告されていない。紅藻は、原核生物に最も近い真核藻類の一つであり、その光化学系も、ラン色細菌と高等植物の間に移行している段階にあるといえる。紅藻PSIIには、20 kDaという、ラン色細菌に存在しない、4つ目の表在性タンパク質が結合しており、このような紅藻とラン色細菌のPSIIの構造上の違いを明らかにするためには紅藻PSIIの立体構造解析が必要である。本研究では紅藻由来PSIIの結晶構造を解析するため、Cyanidium caldariumを用いて、PSIIの大量精製と結晶化を行った。精製方法としては、大量培養した細胞をガラスビーズで破壊してチラコイド膜を調製し、n-Dodecyl-β-D-maltosideを用いてチラコイド膜を可溶化し、その後2回のイオン交換クロマトグラフィーにより高い酸素発生活性を持つPSII二量体を精製することができた。このPSII二量体を用いて、ハンギング・ドロップ蒸気拡散法による結晶化条件のスクリーニングを行い、結晶の析出に成功した。
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© 2007 日本植物生理学会
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