日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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フシナシミドロで発見したAUREOCHROMEは黄色植物(Stramenopiles)に共通の青色光受容体である
石川 美恵高橋 文雄野崎 久義長里 千香子本村 泰三*片岡 博尚
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p. 336

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抄録
黄色植物(不等毛類)に属するフシナシミドロ(Vaucheria frigida)から2種の新奇のLOVタンパクを発見した.それらは1個のLOV ドメインと1個のbZIPドメインを持っていた.これらはRNAi で破壊すると青色光照射域で誘導される分枝形成が起こらなくなることから,青色光(細胞)形態形成の光受容体であることが明らかになった(2005 植物生理学会 新潟).これらのうち一つは生殖器官形成の制御に関与していることも示唆された.BLAST検索の結果,2004年に公開された海産ケイ藻のゲノムに複数個のオルソログが見つかった.近縁の褐藻ヒバマタ(Fucus distichus)受精卵のmRNAからもオルソログを単離できた.そこで,この光受容体タンパクをAUREOCHROME(AUREO)となづけた. FucusのAUREOも光受容体としての機能を持つと推定できるが,有名な極性誘導の受容体であるかは未解明である.フシナシミドロ,褐藻やケイ藻にはフォトトロピン(PHOT)が見つからない. AUREOの発見が褐藻やケイ藻,卵菌の光生物学の引き金になることが期待される.黄色植物は二次共生によってうまれた植物群であるので,AUREOがホスト真核生物に由来するのか,それとも共生した紅色植物に由来するのかを明らかにすることは真核生物の進化と系統を考える上でも有益である.
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© 2007 日本植物生理学会
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