日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

イネ開花制御におけるRFT1Hd3aの遺伝子間コミュニケーション
*小宮 怜奈池上 顕子横井 修司島本 功
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 383

詳細
抄録
イネは、日の長さが短くなると開花が誘導される短日植物である。この光周性経路において、生殖成長期へ転換を促進する遺伝子が、Hd3aであるとされている。RFT1は、Hd3aともっとも相同性が高く、第6染色体上にHd3aと近接して座乗している。本研究では、RFT1の開花制御機構を明らかにするため、発育段階別発現解析、及びRNAiによる機能解析を行った。
RFT1の発現は低いながらも、Hd3a同様の発現パターンがみられたことから、短日条件下で、リダンダントに開花を制御している可能性が示唆された。
RFT1Hd3aの組み合わせによるRNAiを用いた機能解析(短日条件下)を行った結果、Double RFT1-Hd3a RNAi個体は300日経ても開花せず、栄養成長を続けた事からRFT1は新規の開花促進因子である可能性が示唆された。WTでは、通常RFT1の発現は低く、Hd3aが主な開花促進因子とされているが、Hd3a RNAi個体では、Hd3aの発現の抑制を補償するかのように、 RFT1の発現が著しく上昇し、開花が促進した。さらに、RFT1の発現上昇時には、RFT1の転写開始付近でH3K9のアセチル化が上昇し、クロマチン修飾が変化していた。短日条件下におけるイネの開花は、Hd3aRFT1のクロマチン修飾を介した二遺伝子間のコミュニケーションにより制御されている可能性が示唆された。
著者関連情報
© 2007 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top