日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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FTによる花成促進効果の接木伝達性に関する研究
*野田口 理孝大門 靖史阿部 光知荒木 崇
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p. 388

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抄録
近年、「長距離花成シグナル」の一つとして、長日植物シロイヌナズナのFTが着目されている。FTは、花成経路統合遺伝子の一つであり、主に光周期に依存した花成促進に寄与する。FTは子葉および本葉の篩部で発現し、FT蛋白質の作用部位は茎頂であることが示唆されている。さらに最近FT mRNAが葉から茎頂に長距離輸送される可能性が報告された。我々は、FTによる花成促進効果の接木伝達性を検証することがこの問題に対して有力な手がかりを与えると考えている。
そこでシロイヌナズナに接木手法を導入してこの課題を検証した。用いた胚軸接木法は、4日目の芽生えを使い、胚軸に一部切れ込みを入れた台木に、胚軸で切断した接穂を差し込むY字型の接木法である。これまでに抽台後の植物において接木の成立を確認しているが、さらに接木がいつ成立するかを検討するため、経日的に接木面の樹脂切片を作製し維管束の連続性を調べた。これまでにこの接木法を用いて、内生のFT遺伝子およびFTトランスジーン(過剰発現)による花成促進効果が接木伝達性であることを示唆する結果も得た。現在は、これまでに検討したFTトランスジーンが内生のFT遺伝子を介して接木伝達性を発揮している可能性を考え、これを検証している。
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© 2007 日本植物生理学会
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