日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネ茎頂分裂組織維持に関わるLOG遺伝子はサイトカイニン活性化酵素をコードしている
*上田 七重小嶋 美紀子倉川 尚前川 雅彦小林 薫長戸 康郎経塚 淳子榊原 均
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p. 405

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抄録
サイトカイニン(CK)はIPTによりヌクレオチド体として合成されたのち塩基体に変換され活性型となる。CKの活性化経路についてはヌクレオチダーゼとヌクレオシダーゼによる二段階反応によると考えられてきたが、我々はイネ茎頂分裂組織の維持欠陥変異体であるlogの原因遺伝子(LOG)が、ヌクレオチド体から一段階反応で塩基体に変換する新規酵素をコードすることを同定した。
LOGはputative lysine decarboxylaseとアノテートされていたが、その活性は全く認められなかった。そこでLOGホモログ遺伝子が一部の病原性土壌細菌のIPT遺伝子に隣接していることに着目し、CK代謝系への関与を検討したところ、iPRMPやtZRMPなどのCKヌクレオシド一リン酸からリボース一リン酸を外し、塩基型CKに直接変換する活性を持つことが明らかになった。
さらにlog変異体アレルにおける表現型の程度差とそれぞれのLOG変異体酵素活性の相関を調べた。log-1, log-4, log-5, log-6変異体がコードするLOGの酵素活性を測定したところ、表現型が比較的弱いlog-1, log-4由来のLOG-1とLOG-4は非常に弱い活性がみられたが、シビアな表現型を示すlog-5, log-6由来のLOG-5, LOG-6では活性が検出できなかった。以上の結果よりlog変異の表現型は、茎頂分裂組織においてLOGによるCK活性化機能が低下した結果であると考えられる。
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© 2007 日本植物生理学会
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