抄録
我々はブラシノステロイド情報伝達機構解明を目的とし、ブラシノステロイド生合成阻害剤Brzに対する暗所発芽時の応答性を基準に、シロイヌナズナアクティベーションタグラインから新規変異体の選抜と遺伝子解析を行っている。
暗所Brz存在下において胚軸が徒長する変異体bil(Brz-insensitive-long hypocotyl)として半優性のW114を単離した。明所下での成熟個体はロゼット葉の細小化と花茎の短化を伴う細矮性形態を示した。現在、タグ挿入部位を同定し、候補遺伝子の特定を行っている。
野生型シロイヌナズナの子葉およびロゼット葉は、Brz存在下において、葉緑体発達による緑化促進が観察される。この条件において、低緑化を示めす劣性の変異体bpg2(Brz-insensitive-pale green2)を単離した。変異原因は葉緑体局在が予測されるGTP結合タンパク質相同遺伝子の破壊であると考えられた。このBPG2遺伝子は、葉で最も発現量が高く、暗発芽後の光照射により発現が誘導されるなど、葉緑体分化と連動した機能が推察される。
暗所発芽時、通常培地条件では野生型と同程度の胚軸伸長を示しながら、Brz条件下においてより胚軸短化を示すBrz高感受性変異体bss(Brz-sensitive-short hypocotyl)として半優性のZ1を単離した。明所下での成熟個体は花茎伸長が著しく阻害された矮性形質を示した。現在、タグ挿入部位を同定し、原因遺伝子の特定を行っている。