日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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[4Fe-4S]型鉄硫黄クラスター形成に関与する蛋白質HCF101の機能解析
*矢部 俊樹堀 洋中井 正人
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p. 443

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抄録
我々はこれまで,CnfUと名付けた蛋白質が鉄硫黄クラスター生合成過程の足場として機能し,フェレドキシン(Fd)や光化学系Iへ鉄硫黄クラスターを供給していることを示してきた(Yabe, et al. Plant Cell, 16, 993-1007).一方,シロイヌナズナのhcf101変異体は,[2Fe-2S]型のFdは正常であるが,光化学系Iを含む[4Fe-4S]型の鉄硫黄蛋白質が顕著に減少していることが報告されている(Lezhneva, et al. Plant J., 37, 174-85).CnfU変異体の解析結果とあわせて考えると,HCF101は鉄硫黄クラスター生合成過程においてCnfUの下流で[4Fe-4S]型の鉄硫黄クラスター形成に関わる事が推測される.そこでHCF101蛋白質の生化学的特徴を調べるため,大量発現系を構築し,精製を行ったところ,鉄硫黄クラスター様の補欠分子を保持する状態で精製されてきた.精製蛋白質の還元剤や金属キレーターへの反応性から,保持されている補欠分子属として2種類の異なったものが結合していることが推察された.更に,モデル基質として[4Fe-4S]型のFdのアポ型を用いた鉄硫黄クラスター転移反応再構成実験の結果,HCF101上の鉄硫黄クラスターが転移し,ホロ型の[4Fe-4S]型Fdが生成されることが確認された.このことから,HCF101蛋白質自身が[4Fe-4S]型鉄硫黄クラスターを一過的に保持し,アポ型基質蛋白質へと受け渡しする,足場蛋白質として機能する可能性が示唆された.
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© 2007 日本植物生理学会
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