日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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葉緑体に特異的なNDH複合体の新たなサブユニットであるCRR3の機能解析
*村岡 良平奥田 賢治小林 善親鹿内 利治
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p. 447

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抄録
NAD(P)H dehydrogenase (NDH) 複合体は光化学系Iサイクリック電子伝達及び葉緑体呼吸電子伝達に関与している。現在までにNDH複合体は葉緑体ゲノムに11つ、核ゲノムに3つサブユニット遺伝子がコードされているが、サブユニット構成の全ては未だ解明されていない。シロイヌナズナcrr3 変異体は光照射後に観察される、クロロフィル蛍光の一時的な上昇の欠如を指標として単離された。CRR3遺伝子(At2g01590)は葉緑体移行シグナルと一つの膜貫通領域を含む、機能未知タンパク質をコードしている。CRR3はチラコイド膜に局在しており、NDH複合体の蓄積に不可欠である。またNDH複合体もCRR3の蓄積に必要である。これらの結果からチラコイド膜においてCRR3がNDH複合体と相互作用している事が示唆された。またNDH複合体の他のサブユニットとは対照的に、CRR3はNDH複合体が由来すると考えられているシアノバクテリアでは保存されていない。以上の結果は、CRR3が葉緑体に特異的なNDH複合体の新たなサブユニットであるということを示唆している。
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© 2007 日本植物生理学会
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