日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

PGR5依存の光化学系Iサイクリック電子伝達経路の解析
*桶川 友季賀川 裕悟小林 善親鹿内 利治
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 448

詳細
抄録
光化学系I(PSI)サイクリック電子伝達はリニア電子伝達と同様、光合成と光防御に不可欠である。高等植物においてはPGR5(PROTON GRADIENT REGULATION 5)依存の経路がメインでありフェレドキシンからプラストキノンへの電子伝達を担っている。この経路にはPGR5という低分子のチラコイド膜タンパク質が不可欠であることが証明されているがこのタンパク質の機能および経路の詳細はまだ明らかにされていない。またこの経路の重要性にもかかわらずin vivoでのこの経路による電子伝達の速度およびその制御については様々な議論がある。
そこで私たちはシロイヌナズナの突然変異株、pgr5の単離葉緑体を用いてPGR5依存のPSIサイクリック電子伝達活性を評価した。測定に用いる光強度および測定用培地のpHの検討の結果、in vitroにおいてリニア電子伝達が十分に駆動されている条件においてもPGR5依存のPSIサイクリック電子伝達によるクロロフィル蛍光変化を観察できた。またこの経路による電子伝達が活性化される条件を見つけ出した。さらにNADP+を用いた競合実験の結果、野生株においてNADP+の光還元と光化学系Iサイクリック電子伝達の間にフェレドキシンの酸化をめぐる競合が見られるとことが明らかになった。これらのことからin vivoにおけるPGR5依存のPSIサイクリック電子伝達の貢献は表現型を説明するのに十分なだけ大きく、NADP+の酸化還元状態がこの経路を調節していることが示唆された。
著者関連情報
© 2007 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top