日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナの低温ショックドメインタンパク質の機能解析
*佐々木 健太郎金 明姫今井 亮三
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p. 481

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抄録
大腸菌の低温馴化においては,低温ショックタンパク質(CSP)の蓄積が不可欠である.CSPは低温下で生じるRNAの2本鎖構造を解くRNAシャペロンとして機能する.我々はコムギの低温ショックドメイン(cold shock domain ; CSD)タンパク質WCSP1が細菌のCSPと構造・機能的に保存されたドメインをもつことを明らかにしている.今回,我々はシロイヌナズナのゲノムにコードされる4つのCSDタンパク質のうち,AtCSP1についての機能解析の結果を報告する.まず,RT-PCRによる発現解析を行なったところ,AtCSP1の発現は低温処理(4℃)により増大することが示された.次に大腸菌より組換えAtCSP1タンパク質を精製し, in vitroで2本鎖DNAをモデル基質とした核酸解離活性を検討した.その結果、AtCSP1は2本鎖DNAを解離させる活性を持つことが明らかとなった. AtCSP1プロモーター::GUS融合遺伝子の発現解析により,AtCSP1は幼苗の茎頂、根の先端組織などの分裂が盛んな組織や葯で特異的に発現していることが分かった.AtCSP1::GFP融合遺伝子をパーティクルガンを用いてシロイヌナズナの根の細胞内に導入し、一過的に発現させたところ、核内特に核小体で強いシグナルが確認された.以上の結果からAtCSP1はRNAシャペロンとして,核内においてmRNA, rRNAのプロセシング等に関与する可能性が考えられた.
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© 2007 日本植物生理学会
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